『宇宙の騎士テッカマンブレード』第15話「魔神蘇る」

オービタル・リングのエネルギー供給システムを破壊されたラダムは地上の核融合発電所を襲撃、直接エネルギーを奪取しようとしていた。
発電所を守るため出動したスペースナイツ。
だが、エビルの肉親の情を利用した作戦に動揺を隠せないブレードは遂に30分の変身リミットを越えてしまうのだった……。


2009年最初のブレード全話レビュー。
今年は月一よりもうちょっとペースを上げたいのだが、果たしてどうなることやら。


サブタイトル後から暴走するブレード。
連合防衛軍が攻撃を繰り返すが足止めが精一杯。
「ラダム獣一匹倒せない軍が奴を止められっかよ」というノアルの発言通り。
珍しく正論を言ったと思ったら、差し違えるとか無理を言い出す辺りがノアルのノアルたる由縁だが(苦笑)。
以前からテッカマンを研究していても、まだ成果が出せていないので特に手がない筈なのに落ち着き払っているフリーマン。
ここで終わるようならテッカマンブレードも人類もそれまでのもの、という達観もあるんだろうが、流石大物。


Dボゥイの悪夢の映像はテックシステムによって精神を支配されてきたイメージか?
逃げるDボゥイの姿がDボゥイの本来の意識。
追いかけてくるシンヤ達がDボゥイを支配しようとするテックシステムのイメージと。



市街地というか民間人を守るために反応弾の使用を決めたコルベットがちょっと意外。
他に手がないと分かっているからなんだろうが。


反応弾使用を聞いてDボゥイを止めようとするアキ。
だが、説得は失敗。
それでもヒロインか、って気もするが、この頃のDボゥイとアキ達の絆はそれほど大きくはないからある意味当然。
14話でもそうだったが、やはりまだラダムになったと分かっていても肉親に対する情の方が強い。
当然と言えば当然の話だが。


エビルがブレードが元に戻ることがないと断言。
どちらかといえばオメガの方が詳しそうな気もするが、やはり実際にブレードを見ているエビルの方が分かるのだろう。
エビルの言う“人間達”の頑張りは予想外だったろうが、エビルにしてみればやはりDボゥイの精神力を見誤っていたのだろう。
これが段々テッカマンエビルでなく相羽シンヤの意識が強くなる最初のきっかけ。


反応弾発射。
無駄にコルベットがポーズを決めているが、テッカマンが無傷と聞いたときのリアクションで台無し。
フリーマンの「……もう誰も彼を止められない」が渋すぎる。


Dボゥイの精神支配はより進行。
シンヤだけでなく、父やケンゴに加えてフォンまでテッカマン化する一方で、ミユキだけがテッカマンになりかけながらもDボゥイを助ける。
後の伏線ってのもあるだろうが、テッカマンとなりかけながらもDボゥイを助けるミユキこそがDボゥイに唯一残された肉親への愛情のイメージなのか?
まだテックセットシステムの中のミユキが精神感応していたという可能性もあるけど。
それもシンヤの手で断ち切られ、精神支配完了の一歩手前、ってところか。
しかし、あそこでミユキが殺される姿はかなりホラーっぽい。


悪夢の中で殺されるミユキの姿から思わず「ミユキ」の名を呟くDボゥイ。
反応弾の直撃を受けても生きてる生体センサーに驚愕。
情報を得てからのフリーマンの動きの早さにも驚いたが。
外からはアマリリスの花を持ったミリーが呼びかけ、内面はミユキからの呼びかけ。
この二つが「お兄ちゃん」で合わさったことでラダムの精神支配に打ち克ったDボゥイ。
……これだけだとどこまでシスコンなんだ、って感じで良い話が完璧に台無し。
完全に間違いって訳でもないが(汗)。


そこから怒りと勢いに任せてオービタル・リングのエビルをボルテッカで一撃。
ブレードの方が感応波を使ってエビルの位置特定したりするのは珍しいかな。
エビルは傷を負ったものの生存。
正気を取り戻したとはいえ、あれだけ長時間暴走状態だったDボゥイの消耗を考えると無理な筈。
それだけミリーへのすまなさと自らの不甲斐なさとラダムへの怒りが強かったということ。
それにブレードが正気に戻ったとしてもラダム側は特に損害を被った訳ではない。
一方でエビルは健在なのでスペースナイツ側としては放置しておくのはまずかったことを考えると戦術的には正しい選択。
ブレードが元に戻らないと思い込んでいたエビルの油断をついた完璧な奇襲だった。
出来ることならトドメも刺しておきたかった所だが、消耗したブレードの状態を考えるとこれが限界だろう。
実際エビルはしばらく動けなくなった訳だし。


ブレードの変貌ぶりに信用できないとしてバルザックに任務を急がせるコルベット
確かにブレードは「諸刃の剣」ではあるのだが、その戦力と何より敵にテッカマンが存在する事を考えると「信用できない」からといって簡単に捨ててしまえる存在ではない筈。
反応弾発射後の時もそうだったが、この辺の胆の座らなさがコルベットの小ささか。
それとは別にいよいよバルザックが活動開始。
バルザックは結構好きなキャラなので楽しみ。


今回はなんと言っても作画が別作品か、というくらい良かったこと。
キャラクターは設定よりも美形になってるし*1、ブレードやエビルもいつもよりシャープな作画で動いても崩れないという、これまでの作画状況からは考えられないクオリティ。
まず間違いなく「テッカマンブレード」内でもトップクラス。
ということで、作画スタッフをエンディングのテロップからメモ。
正直、作画スタッフ関係はそんなに詳しいわけではないので、知っているのは後藤圭二氏くらいのものだけど。
ブレードのファンとしては、これだけのクオリティの回を制作してくれた事に礼を言いたいところ。

作画監督 室井聖人
メカ作監 オグロアキラ
原画 ブランカ、水田麻里、山根理宏、北野義広、後藤圭二、門智昭、ところともかず


次回からいよいよ連合防衛軍反撃or地球製テッカマン編か*2
バルザックも本性を現し始めるし、その次の次くらいでは地球製のアレも登場とラダムテッカマンはしばらく登場しないものの、これはこれで面白い。
ということで次回、第16話「裏切りの肖像」
仮面の下の涙をぬぐえ

*1:コルベットでさえ(笑)。

*2:別名「Dボゥイドンゾコ編」とも。どれも勝手に命名(苦笑)。