北方謙三「水滸伝」十八――乾坤の章


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早くて7/25に来るかと思ったが、今日到着したので早速読了。
以下ネタバレ感想。


























楊令が遂に梁山泊に参加。
てっきり最後に梁山泊の後を継ぐみたいな感じになるかと思ったので意外。
立場的には変わらないだろうが。
北へのつなぎも出来たことだし。


黄信が良い感じに嫌なキャラになりつつ。
呉用の嫌われ方とかただ同志だから仲良くするのでなく、欠点があったり、性格が合わなかったり、嫌ったり嫌われたりするところがあるのが深いところだなと。
鮑旭もすっかり悟ってしまって有能なのは分かるんだが、そういうところが嫌われるというのも人間らしくて良い。
丁得孫がある意味最低な死に方をしたが、そういう弱さが人間らしく思えたり。


二竜山は遂にこういう形で決着がついてしまったか。
分かっていてもくるものがあるなあ。
秦明、解珍、郝思文と味のある親父どもが次々とだもんなあ。


唐昇の使い方は巧かった。
嘘を百回言ってると言っている本人もその気になるというのはあり得ると思うので。
しかも、唐昇の場合それで他人を説き伏せて仲間にするんだから、十分あり得るかと。
それでも、ちゃんと目標が有ればこうはならなかったと思うが、ああも中途半端で忘れられたような立場に置かれては、ね。
そういう意味では青蓮寺に責任あり。
作者が忘れていたという可能性も否定できないが、ここまで巧く再利用されてはケチのつけようがない。


ラストは鄒潤が死ぬかと思わせておいて林冲の最期とは。
これは意表をつかれた。
しかし、林冲にはこれで良かったんだろうな。
死なせた妻の代わりにはならないだろうが、扈三娘とはいえ救った上で死ねたんだから(扈三娘には酷い話だが)。
郁保四までついてるし。
林冲の死に様よりラストの公孫勝の涙が泣ける(泣いてないけど)。


しかし、ああいう形だと次巻以降での鄒潤がどう行動するかが気になるな。
変な形で暴発しなければいいのだが。