『水滸伝 永遠なる梁山泊』第九、十巻

水滸伝 永遠なる梁山泊 第9巻
コニービデオ (2005/05/21)
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レンタルにて視聴。
流石方臘編ラストだけあって死ぬ死ぬ。
矮脚虎王英が特徴的な役者さんの見た目と演技もあってか中々ユーモラスだったんだが、扈三娘共々あっさり。
一番悲劇的だったのは張順か。
死に方は原作通りなんだが、死ぬまでのプロセスが悲惨というか。
あそこで宋江が使者を出すとか言わなければ……。
それ以外でも朝廷から期日を切られ力攻めしかできなくて死にまくるというのは悲惨としか言いようがない。
大抵がまともな戦いじゃなくて罠に嵌って死亡だからなあ。
そういう意味では悲劇性は原作よりも高いか。


燕青、李逵と因縁のあった龐万春とその妹だが、さほどクローズアップされず戦死。
何も考えず人殺しばかりしている李逵に戦いの空しさらしきものを教えたという意味では凄いが、一度も弓を使わず戦死というのも。
任原に負けたのも奴が暗器を使っただけでなく、体術が弓ほど得手でなかったからとばかり思っていたのだが。
ちょっと残念。


方臘戦で通じて活躍したのは武松。
姿が他と違う黒い行者というのもあって台詞無しで戦っていてもとにかく目に付く。
さらに旧縁のある張青、孫二娘の戦死時に立ち会ったりとイベントもあるし、何より片腕で方臘を虜にするとは*1
終盤になっても腕を切られるイベントが起きないのでこのまま生き残るかと一瞬思ったのだが、まさかこんな活躍をするとは。
他に李逵、燕青、花栄も目立っていたが、これには及ばない。
この水滸伝の影の主役と言えるかも。


その後はほぼ原作通りか。
花栄宋江の付き人になっていたり、ラストで宋江李逵に毒酒を飲ませようとしたところだけちょっと違うが、概ね原作通り。
ほぼ出番の無かった李俊が離脱するためだけに出てきたのはちょっと笑ったが(苦笑)。


最後に「永遠なる梁山泊」版水滸伝の評価だが、中の上というところか。
色々原作をアレンジしているところも面白く見られたし、原作の冗長な部分を削除している部分も評価できる。
一部削除しすぎているところもあるが、ちゃんと最後まで完結しているのも評価したい。
他では個人的に聞き慣れないエンディングの歌とか結構好きだった。
本編でも水軍の兵士達が歌っていたが、こういうのが楽しめるのも映像作品ならではなので。
不出来な部分では削除し過ぎなのと合戦パートがショボかったこと。
合戦は頑張ってはいたのだろうが、もう一声欲しかった。
他ではやはりほとんど出てこない連中がいたことか。
そもそも梁山泊に加入するエピソード自体削られた連中も少なくないし、出てきてもそれ以降ほとんで出てこない連中も多数。
一応全員勢揃いしている場面もあるのだが、碌に出てないのに誰が誰かなんて分からんって(苦笑)。
全員に見せ場なんてそもそも物理的に不可能だとは思うが、もうちょっと何とかして欲しかったところ。
とまあ多少の不満はあるが、やはり小説で読むのと実際に見てみるのとでは違うので見て良かった。

*1:李逵とか数名でかかって最後に取り押さえた。