青木冨貴子『731』

731
731
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青木 冨貴子
新潮社 (2005/08/04)
売り上げランキング: 178780


夏の古書市で購入したのをようやっと読了。
中々興味深かった。


個人的には731部隊関係で多くの人が石井の地元から集められたというの知って、やはり当時は地縁というのが大きかったんだなと変なところで感心してしまった(苦笑)。
それはともかく、本書の特徴はやはり等身大の石井四郎他の731部隊関係者を描こうとしたところだろうか。
人体実験まで行った極悪非道な研究者と非難するでもなければ、国家の勝利のためにやむを得ず生物兵器の開発に従事した科学者と弁護するでもなく。
各種史料を収集し、それに基づいて論を積み重ねていくあたりはノンフィクションのお手本のようでもある。
石井四郎のノートを入手するという幸運に恵まれていたのは事実だが、そこからここまでの本を書き上げたのは間違いなく筆者の地道な取材と史料収集にあったといえる。
とはいえ、先行研究や731部隊について基本知識が欠如しているので、どこまで評価すべきかは判断に余るのだが。
色々面白そうな本とかも紹介されていたので、それらを読んでみるなりして見聞を深めて再読するのも面白そうだ。
何時になるか分からないけど。