『ベトナム航空戦――超大国空軍はこうして侵攻する』

ベトナム航空戦―超大国空軍はこうして侵攻する
W・モーマイヤー 藤田 統幸
原書房
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今春の古本祭りで購入したのを読了。


空軍制服組トップの見解なだけあって政治的な制約に批判的で、敵国の政治経済の中枢を直撃する戦略爆撃こそが戦争を終結させると断定的に評価している。
ベトナム戦争も結局は空軍の爆撃を制限していたジョンソン大統領の時には北ベトナムを屈服させることが出来ず、制限をほぼ解除した
ニクソン大統領の時に和平交渉を成立させることが出来たと。
解説にもあったけど、やはりその辺の評価は些か一方的。
ジョンソンとニクソンの時ではソ連、中国の対応が異なっていることを敢えて直視せず、空軍力を過剰に評価しているように思える。
訳者はその辺を著者も自覚的だから「批評を歓迎する」と文中で述べているとフォローしているけど、この辺は行間を読み過ぎな気がする。
そもそも空軍元将官の著作なだけあって戦略面より戦術面の記述が多く、メインはそっちなんだろうけど。
比較的専門用語も少なめで素人の自分にも分かり易く書かれていたのは評価されるべきかと思うけど。


自分的にはこれまでフォローしてなかったアメリカ空軍側から見たベトナム戦争という意味では中々興味深かった。
古書で安かったってのもあるが(苦笑)。