『宇宙の騎士テッカマンブレード』第14話「血をわけた悪魔」

ラダム獣の攻撃が止み、スペースナイツに訪れていた束の間の平和も新たなるテッカマンの出現により破られた。
新たなるテッカマンについて知るはずのDボゥイは頑なに沈黙を保っていた。
一方、先の戦いでブレードの弱点を見抜いたエビルは新たなる作戦を準備していた。


オービタル・リングでエビルとオメガがミーティング。
作戦目的をきっちりと設定し、作戦自体には先の戦闘のデータを生かす。
一分の隙もないというか、事情があるとはいえ情報不足で対策が取れないままのスペースナイツとは雲泥の差。
勝てるはずがない訳だ。
しかし、オメガ様はボスらしい喋り方ではあるんだが、その正体を考えると違和感を覚えなくもない。
これもテックセットの副作用か(違)。


ブレードのキーアイテムともいえるアマリリスが登場。
花言葉に重要な意味があるのは今回だけだけど、花言葉など知らなさそうなDボゥイがそれを知っているという事実だけで深い意味があるのが分かる。
そして記憶喪失でありながらの迂闊な妹発言。
Dボゥイとしても本意ではないだろうが、正直それどころじゃなかったんだろうな。
予想していたとはいえ完全にラダムへと変貌していたシンヤとの再会。
更にその動揺を抑えられぬままにミユキの好きな花を見たから思い出してもやむを得ない、か。
最も近しい肉親が姿、口調、性格、記憶はそのままでいながらラダムになり自分を殺そうとする。
しかも、それを誰にも相談できず一人抱え込んだまま。
それでいてスペースナイツ達との絆はまだささやかなもので確固とした戦う理由もない状態。
そりゃ幻覚を見るくらい動揺するってものだ。
だが、逆にそんなボロボロの精神状態で戦うとどうなるか、ってのが今回の結末な訳だが。


オペレーション・サンセットでエネルギー供給を絶たれたラダムの次善の策は地上の発電所などから直接エネルギーを奪うと。
直接的で分かりやすい作戦。
蜂で例えていたけど、エネルギーを貯め込めるってこれまた便利な機能を備えているな。
流石ラダム特製の万能兵器。
文字通りラダムの生命線だし、ラダムが品種改良をしたか一から造った人造生物なんだろうから、この程度あっても全然おかしくないが。


VSエビル第二戦。
ランサーが交差、絡まりあって地面に突き立つ描写が二人の関係を暗示していて中々に格好いい。
前半戦は互角。
だが、この時点で既にブレードはエビルの術中に。
エビルはブレードと戦う一方で騎乗ラダム獣にペガスを誘き出させ、ブレードと引き離す。
それまでは戦いに専念、それなりにペガスとの距離を離しつつ、戦場を思い出の海岸付近に移動。
移動後はブレードを揺さぶるべく過去の思い出話をした後にミユキが好きだったアマリリスの野原へ。
更にミユキの名を出して更に動揺させる。
この段階でほぼタイムリミットなので、激痛に襲われ動きが鈍くなったブレードを拘束し、タイムリミットを待つ。
リミット後無防備状態になったブレードを確認後は素早く離脱。
暴走状態に巻き込まれないようにする。
多分エビルの作戦はざっとこんな流れだったのではないかと。
最大の脅威がブレードだが、弱点だけでなくその過去・人格まで熟知。
他はラダム獣にすら効かないレーザーしかないブルーアース号とそれ以下の防衛軍だけなんだから、失敗する筈がないか。
というか、双子の兄をあそこまで徹底して追い込める段階で勝ちは決まったようなものか。
まさに「血をわけた悪魔」。


暴走状態のブレードを攻撃しようとするノアルと止めようとするアキ。
どちらも意気込みは買うが、そもそもブルーアース号のレーザーじゃ……。
っつーか、発電所に群がるラダム獣を倒せなかったばかりだろうに。
リミット直後の無防備状態なら倒せると思っているのかも知れないが。


作画状況は全体的にブレードの作画としてはまだマシな方か。
だが、BパートのブレードVSエビルはかなり動いていて、中々見応え有り。
他にも先に挙げたランサーの交差や騎乗ラダム獣に地面に激突させられるペガスとか。
他にはアマリリスの花吹雪の中で立ちつくすブレードなど印象的なシーンも多かった。
しかし、頭のシンヤの顔が異常に綺麗だったり、ブレードは崩れ気味でもエビルはそれなりに描かれていたシーンが多かった。
これらはやはりエビルに対するスタッフの愛情ということなのかな?
今回のエビルの悪役ぶりは素晴らしかったので気持ちは分かるが。


次回は予告を見ただけで作画が別作品かと見紛うぐらいのクオリティ。
まさにエビル登場編のクライマックスに相応しい。
ということで次回、第15話「魔神蘇る」
仮面の下の涙をぬぐえ