『宇宙の騎士テッカマンブレード』第16話「裏切りの肖像」

テッカマンエビルの策によって変身リミットを越えて暴走するテッカマンブレード
防衛軍の度重なる攻撃でも暴走するブレードを止めることはかなわなかった。
そんなブレードを救ったのはミリーの必死の叫びだった。
怒りに燃えるブレードは油断するエビルをボルテッカで一撃、撃退した。


初っ端からうなされるDボゥイ。
Dボゥイが、暴走の結果とはいえ、自分の手でミリーを傷つけ、防衛軍を壊滅させたことに何も感じていないわけがない。
ある程度心身共に訓練を受けていればまた話は違ってくるが、そんな準備もしていないのでかなり本人にはキツイだろう。
そもそも望んでテッカマンになって戦っている訳でもなし。
現時点ではまだ軽傷で仲間のフォローとかカウンセリングを受ければ大事にはならなかっただろうが、そんな状態のDボゥイに向けられたのが以下の言葉じゃそりゃ傷も深くなろうというものだ。


遂に本性を現したバルザック
当初の任務はテッカマンブレードを連合防衛軍に引き入れるが主目的だったろうが、前回の暴走でサブだったテッカマンのデータ収集がメインになったのだろう。
ここまで大きな動きがなかったのは、多少時間がかかってもテッカマンブレードさえ手に入ればラダムに対抗できると踏んでいたからだろう。
だが、要であるテッカマンが信用ならないのであれば、話は別。
一刻も早くラダムに対抗するために早急に別の計画が必要になる。
流れとしてはこんなものか。
冒頭の下調べの結果、テッカマンのデータ奪取の目算がたったので基地を去ることにしたのだろう。
だが、バルザックもほぼその全てがフリーマンに筒抜けだったとは思ってなかっただろう。
スペースナイツ基地に来た経緯からある程度フリーマンが気が付いていると踏んでいただろうが、まさかほぼ行動が監視された上で軍方面からも手が回っていたとは予想していなかっただろう。
この辺の迂闊さはバルザックらしからぬ杜撰さ。
そもそも本名で潜入するか、普通(苦笑)。
多分、こんな杜撰な計画なのは大元のコルベットがフリーマンを甘く見ているからだろう。それ以前にスパイ活動がバレた所で権力のごり押しでどうとでもなると思ってそうだが。
というわけで、今回に限らないがバルザックのスパイ活動はどうにも間抜けに見えて仕方がない。
上司にも問題があったが、そもそも相手が悪かったのが敗因だな。


スパイ活動はアレな結果だが、Dボゥイに対する洞察や心理的揺さぶりはかなり鋭い。
おまけに任務上の配慮や遠慮がなくなると本当に容赦がない。
かなり悪意のこもった言葉を投げつけるが、中でも「ま、せいぜい頑張ってくれや。30分だけのヒーローさんよぉ」は辛辣。
バルザックにしてみれば、地位も名誉も恣に出来る立場でありながら、悲劇のヒーロー気取りで自分に酔っている*1Dボゥイが羨ましいし、それだけに許せないんだろう*2


ラダムの襲撃を誘いブレードを出動させ、その間隙を縫って諜報活動。
セオリー通りだが、既に相手に感知されているので折角のスパイアクションも上記のような理由で魅力半減。
そもそもの作画もイマイチでバルザックの動きがぎこちないのもマイナス。
所詮フリーマンの引き立て役でしかないんだから、この程度なのは逆にしょうがないのかな?
ということで、微妙なスパイアクションの結果、テッカマンを模した試作品の数々が並ぶ研究室に到着。
そして、ようやく真打ち登場。
一見メインのように見えたバルザックが実は前座だったのがここで明らかに。
まあ、相手が悪過ぎた。
フリーマンの行動の底にはバルザックが言った「全地球人類のために」が確かにあると思う。
フリーマンが傑出しているのは目的を達する為の行動がきわめて冷静に現実を直視して行われている点だろう。
今回のデータ供与もまさにその一環。
フリーマンとして連合防衛軍と外宇宙開発機構といった組織の違い、或いは争いはそもそも眼中になく、防衛軍がブレードのデータを活用してラダムに対抗する術を得られるのならそれに越したことはない、ということだろう。
もし仮に地球製テッカマンの開発・量産に成功したとしても、能力的にブレードを脅かすレベルにはならないだろうと見越したでだろうが。
実際にスペースナイツを指揮するフリーマンにはやらなければならない事が山積しているおり、人造テッカマンの開発にばかりかまけている事も出来なかっただろう。
そう言う意味では体よくコルベットに仕事を押しつけたとも言える。
資金は防衛軍持ちだし、専属の開発スタッフが集中するのでフリーマンが極秘で開発するより明らかに効率は良いだろうし。
と、フリーマンとしては色々と思惑があるのだが、そんな事は関係のないバルザックは譲られたテッカマンのデータをしれっと自分の功績に。
中途半端にデータを盗ませるより完全版を渡さないと意味がないし、バルザックの経歴や性格を考えると渡した方が確実と踏んだのだろう。


一方、表の戦場ではやはり先の暴走が尾を引いている事が明らかに。
Dボゥイを心配するアキと根本的に楽天家で粗雑なノアルの対比が面白い。
作画状態も元に戻り、戦闘としての面白みは無かったのだが、暴走の影響を引きずっているDボゥイとアキの描写が良かった。


16話でお膳立ては整い、遂にバルザックが表舞台に。
バルザック野望編開始、といったところかな。
ということで、次回は第17話「鋼鉄の救世主」
仮面の下の涙をぬぐえ

*1:ように見える

*2:その辺の細かいバルザックの心理の一端が明らかになるのは次回のエピソード以降だが。