『宇宙の騎士テッカマンブレード』第21話「愛と死の予感」

アーマープラス テッカマンブレード


アキの命を賭けた訴えに再びテッカマンとして戦う事を誓うDボゥイ。
蘇ったテッカマンブレードは防衛軍本部を襲うラダム獣の大群を一掃、防衛軍壊滅の危機を救うのだった。


いまだ目覚めていないラダムテッカマンが数名。
そして、調整中の彼らに対しテッカマンエビルはテッカマンブレードをタカヤと言い直し、自ら葬ると宣言する。
以前の敗北がエビルの誇りを傷つけたからではあるのだが、ブレードをわざわざタカヤと言い直している所はこれまでのエビルとは違ってきている。
ブレードを只の裏切り者として策にはめ、自ら手を下さなかった時と比べると雲泥の差といっていい。
恐らくエビルとして覚醒後はラダムとして意識が強かったのだろうが、ブレードに敗北した事によって、かつて双子としてタカヤと競い合ってきたシンヤの意識が強くなってきているのだろう。
まだささやかな変化だが、これがあの決着に向けての長い伏線の始まりと思うと感慨深い。


Dボゥイが復活し、ソルテッカマン2号機も防衛軍から掠め取って(笑)戦力を増強したスペースナイツ。
あの逆境をくぐり抜けたことでDボゥイとアキの関係にも変化が。
Dボゥイはこれまであった精神的障壁を取り払い、スペースナイツメンバーにも心を開くように。
アキは仲間としてでなく、異性としてDボゥイに対して好意をもっていることを自覚した模様。
というか、これまでスッピンだったのに香水をつけて、それが気が付いて貰えないと落ち込むってどんだけ恋する乙女なんだ(苦笑)。
アキの変化は分かりやすく、スペースナイツメンバーも気が付いている。
だが、それがDボゥイに対する好意だと気が付き、すかさずDボゥイに対して探りを入れるノアル。
更にDボゥイの真意を察し、諭す姿はこれまでとは別人かと見紛うほど。
特にこの台詞は良かった。
「二人仲良く幸せになろうってのも悪かない。だがな、本気で惚れたら相手の不幸を背負うことだって出来る。たとえ相手が化け物でもな。」
この後もきっちり配慮してたし、最後の方で負傷して眠るDボゥイを看病するアキにも男の立場から助言したりとノアルは作中では今回が一番格好いいんじゃないだろうか。
本当に仲間思いの良い奴だ。


エビルは他のテッカマンの目覚めを待つ間に自らを培養球で強化。
テッカマンの治療、強化などは基本的にこの培養球で行われている模様。
生体兵器主体のラダムらしいシステムと言える。
だが、その間にテッカマンレイピアが突如脱走。
レイピアを追うエビルの感応波を捉えたDボゥイもポイントMM120に急行する。


ノアルの色々なフォローがあってDボゥイもやっと香水に気が付く。
だが、次の瞬間にDボゥイはエビルの感応波を反応して殺気だって駆け出す有様。
ま、非常時故に致し方ないのだが、どこまでも報われないアキにちょっと同情。


廃墟と化した教会でシンヤと再会するDボゥイ。
アキの前だというのにエビルが双子の弟だったことを惜しげもなくバラすDボゥイ。
記憶喪失って言った本人ももう覚えてないんだろうが、それにしても(苦笑)。
それはともかくエビルは母親の話を持ち出したり二人の仲を勘ぐるような発言をしてこれまでのようにDボゥイを精神的に揺さぶろうとする。
実際はレイピアを追ってきたエビルはそのことに気が付いてないブレードにレイピアの存在を隠すため多弁になっていたのだろう。
だが、どん底から立ち直り、精神的に強靱になったDボゥイには通じず、逆に何かを隠している事を悟られる。
流石、一度絶望から立ち直った人間は違う。
だがしかし、戦闘ではエビルと互角に戦うが、人間やアキに対する拘りからアキに対する愛情を見透かされて、アキを狙われる事に。
Dボゥイの気持ちは分かるんだけど、流石にあれは言い過ぎだ。
シンヤに対して何かあったとバラしているようなものだ。
新たなアキレス腱を見逃さず、ブレードを逆上させるエビルの手腕は流石。
テッカマンの中で悪魔の名を冠するだけの事はある。
狙い通りエビルは新たな力――他のテッカマンボルテッカを吸収し操る事が出来る――PSYボルテッカでブレードのボルテッカを吸収、その余波だけでアキを庇ったブレードとペガスに大きなダメージを与える事に成功する。
ソルテッカマンの援護でトドメこそ刺せなかったが、ダメージが大きくボルテッカを使ってしまったブレードを倒すのは容易な筈。
だが、エビルは倒れるブレードを尻目にレイピアの感応波を辿り立ち去る。
ボルテッカを操るPSYボルテッカの有効性が実地で確認できた以上、ブレードの脅威は半減。
下手をしたらブレードのようにラダムを裏切りかねないレイピアを追う方が優先順位が高いということだろう。
地球の技術でPSYボルテッカを破れる筈がないと。
だが、そこはフリーマン率いるスペースナイツを甘く見すぎているというべきだろう。
一度はクリスタルを破壊されたブレードがいまだに変身出来ていることを考えれば。
必要以上に他の生命体を見下す傾向にあるラダムの構造的な欠点という気がする。


初登場のPSYボルテッカだが、基本的に敵にテッカマンがいるということは無い筈なので、今回のような使い方がメインではない筈。
恐らくだが、前線指揮官テッカマンに装備させて、指揮下のテッカマンボルテッカを撃たせてそれを操るのが本来の用途では無かろうか?
これならテッカマン単体で破壊しきれない大きさの物体――ラダム母艦級の大型艦や基地、更に小惑星級のサイズ――の破壊も可能になるだろうし、他にも色々と応用が効くだろうから。
通常ではテッカマンが複数存在するラダムに対抗するのは難しいだろうから、滅多に必要はないだろうけど。


閑話休題
エビル同様にレイピアの感応波をキャッチしていたブレードだが、PSYボルテッカのダメージが著しく、意識が朦朧としていてテッカマンレイピアの存在をはっきりとは認識できず、朧気にミユキとして反応している様子。
だから昏睡中にミユキの夢を見ていたのだろう。
そして、ラストで2クール最大のキーキャラクター相羽ミユキが遂に登場。
中盤最大の山場へ向けて話が徐々に加速しつつ、次回へ。


全体的な作画はちょっと甘めに見て中の上くらいかな?
普段話的にも作画的にも報われないアキがちょっと可愛く描かれていたので(苦笑)。
アキの香水に気が付いてハッとするDボゥイの表情もあまり見られないものだったし。
久しぶりのエビルとの戦闘はバンクが多かったのがちょっと寂しいが、それなりの所を使われていたからそれで良しとするか。


ようやくミユキがメインで登場。
予告の段階で完全に別作品という感じなのだが、それもミユキ人気故か?(笑)。
ということで、次回は第22話「ミユキの決意」
仮面の下の涙をぬぐえ