『水滸伝 永遠なる梁山泊』第3巻

水滸伝 永遠なる梁山泊 第3巻
ビデオメーカー (2005/05/21)
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少し前にレンタルで視聴。
晁蓋達の梁山泊乗っ取りから宋江の閻婆惜殺害をへて武松の虎退治、潘金蓮登場まで。


一番面白かったのが閻婆惜殺害編のヘタレ宋江
やり手婆の口車にのって婆惜を妾にしたものの女に慣れないから怖くて手も出せないもんだから何かと理由を作って避ける。
それだけなら理解できないでもないが、式を挙げたその日から何かと口実を作って逃げてる時点で呆れる。
これで婆惜が原作通り金目当ての悪女で宋江に物足りなくて美形の張文遠と浮気してたというならまだ理解できる。
だが、本作では一途に宋江を想っていて、張文遠との浮気も宋江が全然相手をしてくれない寂しさから。
おまけにやり手婆の口から浮気がバレたら、自分からもバラして離縁を迫ったりして何とか宋江の気を惹こうとする。
浅はかなやり方なんだが、ここまでやっても全然相手にされないと流石に哀れになってくる。
トドメが晁蓋からの密書を押さえた婆惜が宋江に要求したのは本妻にしてくれというんだから泣ける(苦笑)。
渋々要求呑んだのに密書を式当日まで渡さないと言われてカッとなった宋江が揉み合いの末刺殺という原作通りの結果になるのだが。
原作では好漢たる者、女色を好まずとかそれらしく言い訳してたし、婆惜も悪女だったから大して気にならなかったんだが、流石にこの宋江はヘタレ過ぎる。


水滸伝も作者によって宋に投降して反乱を全うしないのを潔しとしない場合は宋江や官軍出身組が悪者にされるものもあるのでそういう作風なのかもしれんが*1
そもそも共産主義的というか階級闘争的な見方をすると階級闘争を放棄しようとする宋江は否定されて当然だから、これはこれで共産中国下では正しい訳だが(苦笑)。
そんな話は別にしても宋江がヘタレ過ぎて笑えるし、婆惜がえらい美化されて驚いたというか。
この解釈は思いつかなかったな。
3巻ラスト付近ではあまりの悪女ぶりに『水滸伝』の枠を飛び出して別作品*2で生き延びた潘金蓮が登場。
彼女がどのように解釈されているか見物かも。

*1:この『新・水滸伝』はまさにそんな感じで、招安派の宋江達と反乱派で梁山泊が二分した筈。ストーリーもかなり改編されていてオリジナルキャラも多数登場しているのでかなり別物っぽいんだが。

*2:金瓶梅