『宇宙の騎士テッカマンブレード』第18話「栄光への代償」

宇宙の騎士テッカマンブレードDVD-BOX(初回限定生産版)


30分で悪魔と化す事に苦悩を続けるDボゥイ。
それが迷いとなってラダム獣相手に苦戦、仲間を危険に晒してしまう。
それを救ったのはテッカマンに似た謎の影だった……。


遂にソルテッカマンが本格的に登場。
各部アップの後、射撃モードからノーマルモードへ変更して顔見せ。
デザイン的にはまさに騎士という趣のブレードとは異なり、テッカマンをベースとしつつも機械的なパーツが混在している。
初見でその違いを見て取る本田のおやっさんとレビンの目は流石。
レビンの場合は「セクシーじゃない」という主観的な感想なのが、レビンらしい。
個人的にはこれはこれで味わい深いデザインだと思うが。
そして颯爽とラダム獣相手に空中戦を挑むソルテッカマン。
イメージ的にはホバー走行がメインで偶にジャンプしているくらいだったが、初っ端では結構空中戦をしていたとは意外。
後でバルザックソルテッカマンを装着解除しているシーンも見られるし、初登場なだけあって流石に力が入っている。


戦闘終了後、軍人になってからのバルザックと初対面。
その台詞があまりに秀逸だったので引用。
「へっ、ぬいぐるみとはご挨拶だな。今はそっちの方が、只のぬいぐるみだぜ!」
「ラダムと戦えるのは俺だけだと粋がっていたのは誰だっけかな? どうだブレード、感想は? たった今目の前でこの俺がラダムを倒したんだぜ」
「もはや役立たずのお前などは必要ない。30分で化け物になるばかりか、仲間の危機も救えない。また暴れ出さないうちにさっさとDボゥイに戻ったらどうだ? えぇ、化け物さんよぉ!」
ノアルの何気ないぬいぐるみ発言にここまで言うとは。
余程Dボゥイに対して思うところがあったらしい。
自分たちの命運を握るソルテッカマンが十二分に結果を出して有頂天になっているってのもあっただろうが。


バルザックとチーフの関係について正確に洞察するスペースナイツメンバー。
皆さん分かってらっしゃる(笑)。
とはいえ、ソルテッカマンの量産でラダムに対抗するということまでは分かってもそこから先が見通せないのがキャラとしての限界か。
実際、ソルテッカマンはラダムテッカマンと戦ったことがない時点でその戦力差を正確に認識するのはちょっと無理かな?
外から見ていると反応弾の直撃を受けても無傷というだけで勝負は見えている気がするけどね(苦笑)。



実戦テストも成功と言うことでバルザックは中佐に昇進、マルローも研究所の責任者に。
出自を考えれば異例の出世と言えるだろうな。
無論、彼らの目標はこんな所にはないわけだが。
ソルテッカマンのテストパイロットは志願者が少なかったらしい。
取り扱いの危険な反物質素粒子フェルミオンを使う機体というのと機密だからおおっぴらに公募なんか出来なかったというのもあるのだろう。
それに加えてやはりバルザックがテストパイロットの中でも優秀だったんだろう。
能力が有る上に、マルローから色々の情報を仕入れたりと下準備も怠らなかっただろうから当然と言えば当然か。



仲間の前では無表情で一言も漏らさなかったDボゥイだが、一人になって壁を殴ってたり。
一体何がDボゥイを苛立たせているのかがちと分かり難いのだが、やはり「化け物」と言われたこと、かな?
自分は「化け物」じゃない、と自分に半ば言い聞かせているのだろう。
それとこれまで「ラダムと戦えるのは俺だけだ」と言い聞かせ、仲間や兄弟と戦ってきたのは何だったんだ? という思いかな?
特に暴走してからは常に仲間をその手にかけるんじゃないか?、という恐れを抱きつつも戦い続けてきたのは「ラダムと戦えるのは俺だけ」だから。
それが根本から否定されると、只でさえ色々なダメージを受けて弱っているDボゥイの心はもはや戦闘には耐えられないというのが自分でも分かっているからだろうな。
そんな状態なのに敵はおろか味方まで容赦してくれないんだからな。
流石に同情する。


精製したフェルミオンを輸送するために離陸する、まさにそのタイミングを狙われる。
ラダム獣のエネルギーへの嗅覚が鋭すぎるのか、一旦ソルテッカマンで敵を撃退したため油断していたのか。
何しろブレードもソルテッカマンも臨戦態勢で待機してなかったんだから。
物事があまりに上手くいっていてさしものバルザックも油断していたということか。
奇襲を受けたマルローはちょっと動揺していたのが意外。
軍にスカウトされてからは研究メインだったので急な実戦となると動揺もするか。
それでも脱出装置を使って危機を脱出する機転は流石。
それでも逃げ切れなかったのは相手が悪かったとしか。


一方ではアキからの出撃要請を断るDボゥイ。
バルザックの言葉があったからというのもあるだろうが、精神的には既に限界だったんだろう。
というか、ここまでよくもったというべきだな。
それをなんとか説得したアキ。
これまで何かとDボゥイを気遣い、仲間として支えてきた彼女の言葉だからこそDボゥイも決意したのだろうが、これはこれで酷な話なんだが、アキもどこまで自覚していたのやら。


再登場したソルテッカマンだが、ここでは逆にフェルミオン砲の攻撃力が大きすぎて味方を巻き添えにするために攻撃できないという一種の弱点を見せているのが面白い。
ブレードのデータを元にフェルミオン砲を完成させたものの細かい制御までは出来ていないということになる。
対照的にブレードの方はボルテッカ以外ではランサーを使った近接戦闘が本領なのでそういった制限がないのは利点。
攻守の隙はないのだが、その一方でやはり30分の変身リミットのリスクは大きい。
リミット近くになると頭痛や精神的ストレスなどの兆候を伴うし、今回のように特に精神的に不安定な状態だとそれだけで戦闘不能に陥ったりもする。
人類の手で作られたソルテッカマンに当然そういったリスクはなく、30分以上戦闘を継続可能。
こうしてみると今回の戦闘では弱点をさらけ出したブレードと比較するとソルテッカマンの方は弱点らしき物は特になく、対ラダム兵器として非常に有効なように描写している。
無論ソルテッカマンにも弱点もあるのだが、それは次回ということで。


フェルミオンの誘爆を恐れてマルローの危機に対して何も出来ないバルザック
それを察したマルローはフェルミオンを遠くに投げることでラダム獣への攻撃を可能にさせる。
このシーンでバルザックとマルローの絆が単なる損得だけでないことが見て取れる。
これまで何事にも斜に構えていたバルザックがマルローの危機にここまで焦り、必死になっている姿からもそれが窺える。
フェルミオンを奪われないためにも、のし上がる機会を逃さないために、そしてマルローの犠牲を無駄にしないために敢えてマルローを巻き添えにラダム獣を撃つバルザック
バルザックの判断も悲しいくらい見事だが、一瞬で全てをバルザックに託し死を選んだマルローの判断力も凄い。
それだけ二人の絆が強かったということなんだろう。
その善悪は別にして。


マルローの死を悲しみ、涙を流した後にDボゥイを挑発し逮捕連行するバルザック
親友の死の直後に対ラダム戦でのし上がるための最大のライバルを速効で排除した手腕はまさに権力の亡者。
流石のバルザックもマルローが生きていたならここまではしなかっただろうと思うと、バルザックにとってのマルローの重要性とその約束の重さが分かる。
ソルテッカマンが使い物になると分かった途端、フリーマンにこれ以上戦功を独占させまいとDボゥイの拘束を支持するコルベットの政治的嗅覚は流石(笑)。
実際、暴走事件のあった後でDボゥイが逮捕・拘束されなかった最大の理由は他にラダムに対抗し得る戦力がなかったからだろう。
その前提が崩れた以上、いずれ拘束されたりすることは十分にあり得る。
フリーマンがいることだし、通常ならばここまで強引に行われたりはしなかっただろうが。
ということで起きてみると投獄されていて愕然とするDボゥイ。
碌に説明もされないまま投獄されていればそれは愕然とするよな。
主人公が投獄されるという衝撃のラストで以下次回。


今回も作画はあまり良好とは言えないが、ソルテッカマンやバルザックは結構頑張っていた気が。
ソルテッカマンは基本ホバーでフェルミオン砲を撃つだけなので、あまり動かないし、要所で使われた止め絵含め現場には優しい筈。
その分他のキャラがしわ寄せを受けたのかアップの時のフリーマンの人相が怖いこと怖いこと。
アキもヒロインだというのにDボゥイを説得する見せ場でのアップがイマイチ微妙な顔だったりと相変わらず幸薄い感じ。


遂に投獄されたDボゥイ。
人類に牙をむき、仲間を手にかけようとしたトラウマと解けることのないテックセットシステムの呪いがDボゥイの心を閉ざす。
一方、防衛軍は新戦力ソルテッカマンを中心とした対ラダム反攻作戦を計画していた。
次回、第19話「心閉ざした戦士」
仮面の下の涙をぬぐえ